建築実例
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家族構成ご夫婦
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所在地一宮市
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延床面積109.09㎡(32.99坪)
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UA値0.38 W/㎡・K
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C値0.2㎠/㎡
「開く」と「閉じる」を使い分けた、居心地のいい住まい
開く方角、閉じる方角
西側は車が往来する道路に面しており、その反対側は緑豊かな田園風景が広がる敷地。このため、東側に開いたLDKを設け、外の景色を楽しめる空間をつくりました。
また、隣家に近接する1階南側には窓を設けず、あえて南側を閉じていますが、明るさと開放感を感じられるよう、高窓(ハイサイドライト)からの光を吹抜けを通して1階まで届けるよう設計されています。
この住まいは、隣家や道路からの視線を遮りつつも、外とのつながりと採光を確保するため、閉じる方角と開く方角を明確にしたプランニングが特徴です。
開く場所、閉じる場所
ご夫婦は自宅に人を招く機会が多く、みんなが集える心地よい住まいを望んでいました。同時に、ゲームや映画鑑賞など個々の趣味に没頭できる空間も大切にしたいという考えもありました。
そのため、1階のLDKや庭は家族や友人がくつろぐ開いたパブリックな場所としてデザインしました。人が集まるときには大勢でもゆったりと腰をかけてくつろげる、大型の造作ベンチを配置。
そしてキッチンは、東側の緑やリビング全体が広く見渡せるこの家の特等席。カウンター越しに料理しながら会話が楽しめます。
個室のある2階は閉じたプライベートな場所。主寝室とは別に、趣味を楽しみ、一人でくつろげるパーソナルスペースを確保しています。限られた広さの中で個室を配置するため、大型ファミリークローゼットと本棚を設け、各スペースでの収納を不要とする工夫も取り入れています。
そして、フリールームは「今何をしたいか」に合わせた柔軟な使い方ができる空間です。来客時に泊まれる場所として、また将来お子様ができたときには子ども室として利用できます。
現在の家族構成やライフスタイルに合わせながら、将来の変化を視野に入れた設計により、長期間にわたって快適に住み続けられる家ができあがりました。
建築家
むくふむく
なんだこれ?
と思われるかもしれません。
むくふむく、私が作った造語です(たぶん)。
この造語で「見たい方向と見たくない方向を明確にする」という意思表示をしました。
計画地は比較的交通量の多い道に面しており、敷地南側には隣家が迫って建っており、東側には田園風景が広がり、北側は開放的ではあるが気持ちの良い景色とは言えない環境でした。
現地を確認した時にどちらを向いて生活するかと考えた時「東側の景色に開いて生活しよう!」と思いました。
ただ、日中の南側の採光は確保したい…でも隣家を眺めたいわけではない…難しい….
ご要望では1階にリビングを配したいとのことでしたので、余計に難しくなりました。
そこで考えたのは、
「景色を臨む窓」「採光を確保する為の窓」
を明確に分けることでした。
LDKは採光が確保しやすい南側に配置し、吹抜けを介して採光を確保。
ダイニングテーブルは東側に面した景色のよい窓近くに配置しました。
キッチンに立った時も東側の景色を眺めながら気持ちよく家事出来ることをイメージしています。
リビングに設けられた吹抜けは大きくはありませんが、適度な解放感を与えてくれ、また2階のホールやフリースペースと繋げてくれ、階が分かれていても気配が感じられるような装置になってくれることを期待しています。
1階の水廻りは北側に集約して設けられ、家事が出来るだけ楽に行えるように配慮しました。
また外構計画も特徴的で、一般的には南側に設けられることが多い庭が道路側(西側)に設けられています。
隣家に面した南側に設けた庭で友人を呼んでバーベキューをしても落ち着かないですし、お隣さんにも悪いですしね。
ガレージやフェンス等で適度に仕切り、プライバシーを確保した落ち着いた空間でバーベキューなど楽しんでほしいと思います。
最後に…
むくふむく
このワードで作られたおおらかな空間が、これから送られるお二人の生活ににフィットしてくれることを切に願っています。
建築家/稲沢 謙吾(Kengo Inazawa)
1969 石川県生まれ
1989 東京都立品川高等技術専門校 建築設計科 卒業
1989-2000 株式会社古平真建築研究所
2001 椙設計室一級建築士事務所設立
建築実例:30坪以上に感じる一階完結型の家 , 穏やかな日常を彩る中庭の家
高窓(ハイサイドライト)からの光が吹抜けを通して1階まで届けられ、明るさと開放感を感じられます。
人が集まるときには大勢でもゆったりと腰をかけてくつろげる、大型の造作ベンチ。
お気に入りの本を手に取れる場所に収納したいというご要望をいただき、階段に面した腰壁を本棚に活用しました。
河合工務店では家具も建築の一部だと考えています。建築と一体に計画することで、空間デザインや住み心地に一貫性が生まれます。
クローゼットの奥に設けた、1.5畳のプライベートスペース。隠れ家のように落ちつける空間です。