コラム

2022.09.30

高気密を叶えるために大切な施工ポイント

最近は家づくりを考えるうえで、いろんな会社で高気密・高断熱という言葉をよく耳にするようになってきたと思います。断熱材も種類・工法がたくさんありますが、その力を十分に発揮するためには、気密性能を向上させることもとても大事だと言われるようになりました。
知っておきたいモノサシとして、断熱性能を表すUA値に対して気密性能はC値というものがあります。(UA値は区分ごと、基準ごとに数値が設定されていますが、C値には基準というものがないのが現状です。)

高気密・高断熱の家はよく魔法瓶に例えられます。どんな高性能な素材で作られた魔法瓶も蓋が閉まっていなくて、隙間があれば熱は逃げてしまいます。その確かめる原理こそが「気密測定」として現場で確かめる方法となります。
今日は実際に気密性能を確かめるための「気密測定」を行う際の注意点と実際に現場にて行っている様子をお伝えしようと思います。

高気密を叶えるために大切な施工ポイント

まずは、「気密測定」を行うタイミングについてですが、時期がとても大事です。

  • 断熱材の気密施工が完了していること
  • サッシの取付と気密施工が完了していること
  • 換気スリーブの施工が完了していること

以上をクリアしたこんな感じの現場の中で測定を行いますが、まずは準備開始です。
断熱材は柱と間柱の間に施工するため、パネルを入れたままではわずかながら隙間が生じています。それを大工さんがこまめに全箇所コーキングや少し幅の広いところには断熱スプレーで充填していきます。この細かな作業の積み重ねで全体として高気密のお家が出来上がります。

高気密を叶えるために大切な施工ポイント

また、気密確保の上ではサッシまわりも重要です。サッシも断熱材同様木材の間にはめ込むように設置を行いますが、クリアランスは設けているため断熱スプレーで気密施工を行うとともに、窓台まわりは防水シートと防水テープ(伸縮ブチルテープ)にて漏水対策もしっかりと行います。雨漏れで一番リスクの多い箇所はサッシ周りなのです。また、気密性能の高いお家では換気扇を使用したりする場合に室内が負圧になることがあるので、水を引っ張ってしまわないようにしっかりとした対策が必要となります。

高気密を叶えるために大切な施工ポイント

よく高気密のお家で第3種換気のように給気口や換気扇の穴は開いていて大丈夫ですか?という質問を頂きますが、気密性を測るうえで大事なのはあくまで「無駄な隙間」がないかどうかを調べることです。換気の穴は換気計画上必要な穴になりますのでそれらは、写真のサッシ上のように(これはキッチンの換気口です。)養生して穴が開いていない状態として気密測定を行います。

高気密を叶えるために大切な施工ポイント

 

 

それでは測定機器の紹介です。気密測定のための建物全体の養生が終わったら機械を設置します。このバズーカのような筒が大きな扇風機の役割を担っています。

高気密を叶えるために大切な施工ポイント
高気密を叶えるために大切な施工ポイント

機械を設置していざ計測開始。ブンブンとファンが回りだします。徐々に回転数と圧力差を上げながら5分ほどして計測が終わると、床面積の入力を行ってC値を確認。右側からレシートのような測定結果表が出てきます。

高気密を叶えるために大切な施工ポイント

測ってみないことには本当の性能はわからないので、基準値をクリアして大工さんも社長もほっと一安心です。これで次の作業工程に移ることができます。今回は一発で基準値クリアでしたが、まれにクリアしないこともありますがその時はファンを起動中に現場内をよく観察すると隙間風が漏れている箇所がわかります。よくあるのは設備配管まわりや電気配線まわりの隙間です。やはり人が行う作業なのでそこはしっかりと客観的に数値化して測定することがとても大事です。是正確認→再測定を行い、基準値をクリアするまで確認します。

高気密を叶えるために大切な施工ポイント

 

気密は良すぎると家によくないという眉唾な情報もよく目にしますが、高気密・高断熱のお家に住まわれているOBの方からは概ね心地よい、電気代が下がったなどのお話を伺いますので、確かな結果が得られるのだと思います。可能な限り気密測定を行い、適正なC値を確認することで、確かな高気密・高断熱の家になると思います。