家づくりの知識

2025.01.23

家の気密性能の役割

気密測定


気密性能の役割:住宅の快適性、省エネ、健康を支える基礎

住宅の気密性能は、隙間からの空気の流入や流出を防ぎ、室内環境の安定性を高める性能です。現代の住宅性能を考えるうえで、気密性能は断熱性能や換気性能と同様に重要な要素であり、これが欠けると住宅全体の快適性や省エネ性が大きく損なわれます。本コラムでは、気密性能の役割、具体的な効果、そして実現のための方法について掘り下げます。


1. 気密性能とは何か?

気密性能は住宅の「隙間の少なさ」を示す性能で、C値(隙間相当面積)で表されます。C値が小さいほど気密性能が高く、冷暖房効率や快適性が向上します。

  • C値の基準値
    • 0.5以下: 高気密住宅(断熱性能との連携で快適性が最大化)。
    • 2.0前後: 一般的な住宅(快適性が低下する可能性あり)。
    • 5.0以上: 隙間が多く、冷暖房効率が大幅に低下。

隙間が多い住宅では、外気が侵入するだけでなく、暖房や冷房で調整した室内の空気が逃げてしまうため、快適性が損なわれます。


2. 気密性能が果たす具体的な役割

(1) 室内温度の安定化

気密性能が高い住宅では、外気が侵入せず、冷暖房で調整した室温が持続します。一方、気密性能が低い住宅では、隙間風により室温が安定せず、快適性が低下します。

具体例

  • 高気密住宅(C値0.5以下): 冬場、外気温0℃でも暖房を2時間稼働するだけで室温20℃を維持可能。
  • 低気密住宅(C値5.0以上): 隙間風で熱が逃げるため、暖房を1日中稼働させても室温が18℃に達しない。

(2) 冷暖房効率の向上

気密性能が高い住宅は、室内外の空気の出入りを最小限に抑えるため、エネルギー消費が少なく済みます。これにより、光熱費の削減が可能です。

具体例

  • 高気密住宅: 年間冷暖房費約12万円(光熱費が50%削減)。
  • 低気密住宅: 年間冷暖房費約24万円(エネルギー消費が倍増)。

(3) 結露防止と建物の耐久性向上

隙間から侵入した冷気が壁内や窓枠を冷やすと、結露が発生します。これが放置されると、柱や断熱材が腐食し、建物全体の耐久性が低下します。

具体例
高気密住宅では結露が発生しにくく、壁や柱、断熱材が長持ちします。一方、低気密住宅では結露が頻発し、早期のメンテナンスが必要となる場合があります。


(4) 健康的な室内環境の維持

気密性能が高い住宅では、外部からの湿気やホコリ、花粉が侵入しにくくなり、カビやダニの発生が抑えられます。これにより、アレルギーや喘息などのリスクが軽減されます。

具体例

  • 高気密住宅では、花粉症の症状が緩和されたという居住者の声も多く、室内空気の質が向上します。

(5) 計画換気の実現

気密性能が高い住宅では、換気システムが効率的に機能します。外気が計画外に侵入しないため、必要な分だけ新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を排出できます。


3. 気密性能が低い場合のリスク

気密性能が低い住宅では、以下のような問題が発生します。

  • 隙間風による不快感: 冬場に窓際や床下から冷気が侵入し、快適性が損なわれます。
  • 光熱費の増加: 冷暖房で調整した室温が維持できず、エネルギー消費が増えます。
  • 結露の発生: 壁内や窓付近で結露が頻発し、建材の腐食やカビが発生します。
  • 健康への影響: カビやダニの増殖により、住人の健康に悪影響を及ぼします。

4. 気密性能を高める具体策

(1) 気密シートの設置
  • 壁や天井、床に気密シートを設置し、隙間を防ぎます。
  • 配管周りや窓枠の隙間をコーキング材で封止します。
(2) 高性能窓の採用
  • 樹脂サッシやLow-E複層ガラスを採用し、隙間風を抑えます。
(3) 気密測定の実施
  • 完成時に気密測定(C値測定)を行い、問題箇所を特定して改善します。
(4) 第1種換気システムの導入
  • 機械給排気による計画換気を行い、外気の流入をコントロールします。
(5) 丁寧な施工管理
  • 大工や施工者による細部への配慮が重要です。隙間を防ぐために、現場での確認と改善を徹底します。

5. 気密性能の具体例と生活への影響

ケースA: 高気密住宅(C値0.5以下)

  • 室温: 冬場でもエアコン稼働後10分で20℃を維持。
  • 光熱費: 年間冷暖房費12万円以下。
  • 健康面: 室内環境が清潔で、結露が発生しない。

ケースB: 低気密住宅(C値5.0以上)

  • 室温: 冬場、暖房を長時間稼働しても室温が18℃を超えない。
  • 光熱費: 年間冷暖房費20万円以上。
  • 健康面: 窓際で結露が頻発し、カビやダニが発生。

6. まとめ

気密性能は、住宅の快適性、省エネ性、建物の耐久性に大きな影響を与える重要な性能です。高気密住宅では、冷暖房効率が向上し、結露や隙間風が防止されることで、健康的で快適な住環境が実現します。一方で、気密性能を軽視すると、快適性が損なわれるだけでなく、光熱費の増加や建物の劣化リスクが高まります。

家づくりを考える際には、気密性能をしっかりと理解し、断熱性能や換気性能と組み合わせて最適な住まいを実現することが重要です。専門家と相談しながら計画を進め、隙間のない高性能住宅を目指しましょう。

 

平屋や中庭のある家など、今まで河合工務店が建築してきた注文住宅の実例をご覧いただけます。

河合工務店の建築実例はこちら>>

また、モデルハウスや新築の物件を体感できる見学会も開催していますので、お気軽にご予約ください。

イベントをCHECKする>>

SNSでは建築実例や最新情報、お客さまインタビューの動画をお届けしています。

河合工務店のInstagramはこちら>>

河合工務店のYoutubeはこちら>>

河合工務店は創業から一宮市・岩倉市・小牧市・名古屋市近郊でデザイン性の豊かな注文住宅を建築してきました。さまざまな注文住宅を建築する工務店がある中、河合工務店の家はデザイン性だけでなく、第1種換気を採用し、耐震等級3や耐風等級2、断熱等級6、長期優良住宅を取得するなど、性能にも妥協のない注文住宅を建築しております。