家づくりの知識

2024.11.27

住宅基礎について

べた基礎工法の徹底解説

べた基礎工法は、建物全体の荷重を均等に地盤へ伝える基礎構造であり、近年の住宅建築において非常に一般的な選択肢となっています。この工法は、地盤の性質、建物の重量、環境要因を総合的に考慮して設計され、特に耐震性や防湿性能を重視する場合に採用されます。以下では、さらに深掘りして説明します。


べた基礎工法の役割

べた基礎の主な役割は次のとおりです。

1. 荷重の均等分散

  • 建物全体の底部を鉄筋コンクリートで覆うことで、柱や壁の荷重を地盤へ均等に伝達します。
  • 一点に集中する力を避けることで、不同沈下を防ぎます。

2. 耐震性の向上

  • 地震時の揺れを広い基礎面全体で吸収・分散。
  • 基礎が一体化しているため、地震による歪みや破損が発生しにくい構造。

3. 防湿性能

  • 防湿シートとコンクリートの二重構造で地面からの湿気を遮断。
  • 床下が乾燥状態に保たれるため、カビや木材の腐食を防ぎます。

4. シロアリ対策

  • 床下が完全に密閉されるため、シロアリの侵入が物理的に困難になります。

べた基礎の設計と技術的詳細

べた基礎は、以下の技術的な特徴と設計要素を持っています。

1. スラブ厚の設計

  • 一般的なスラブ厚は100~150mmですが、建物の荷重や地盤の特性に応じて調整されます。
  • 重量のある建物や軟弱地盤では、200mm以上の厚みが採用される場合もあります。

2. 鉄筋の仕様

  • 鉄筋の直径(D10~D13など)や間隔(150~200mm)は、建物の荷重と地盤条件に基づいて設計。
  • 鉄筋の配置は、単配筋(スラブの下部のみ)や両配筋(上下に鉄筋を配置)など、耐荷重性を高めるために工夫されます。

3. コンクリートの強度

  • 基礎に使用されるコンクリートの強度は**18~24N/mm²(ニュートン毎平方ミリメートル)**が標準的。
  • 強度が適切でない場合、基礎が割れるリスクがあるため、品質管理が重要です。

4. 縁部補強

  • 建物の外周部分や構造的に力が集中する箇所には、補強筋(追加の鉄筋)や厚みを増す設計が行われます。
  • 外周の「立ち上がり部分」は一般的に300mm以上の高さがあり、建物の壁や柱を支える重要な部分。

5. 基礎梁(リブ)

  • スラブ全体を補強するために「基礎梁」と呼ばれるコンクリートの筋が形成されることがあります。
  • リブはスラブの底面をさらに強化し、荷重分散と地震時の振動吸収に寄与します。

防湿性能のさらなる工夫

湿気の侵入を防ぐべた基礎工法の特性には、いくつかの追加の工夫が含まれます。

1. 防湿シートの施工

  • 高品質な防湿シート(ポリエチレン系)を地盤全体に敷設。
  • シートの厚みは0.2mm以上が推奨され、耐久性や防湿性能を向上させます。

2. 捨てコンクリート

  • 防湿シートを保護し、基礎の位置を正確に設定するための捨てコンクリートを施工。
  • 厚みは50mm程度で、均一な面を確保する役割を果たします。

3. ベンチレーション

  • 必要に応じて床下換気口や防湿材を追加し、床下環境を最適化。
  • 最近では換気口のない密閉型の床下空間も採用されることが多いです。

耐震性をさらに高めるための設計

べた基礎工法の耐震性を向上させるために、次のような設計が行われます。

1. モノリシック構造

  • 基礎全体を一度にコンクリート打設する「一体打ち」を採用。
  • 継ぎ目がないため、耐久性と地震時の強度が向上します。

2. 基礎断熱工法

  • 基礎部分を断熱材で覆うことで、建物内部の温熱環境を改善。
  • 冬場の床下冷気を防ぎ、室内の温度変化を抑えます。

3. 免震基礎の併用

  • べた基礎に免震装置を組み込むことで、地震エネルギーを効率的に吸収。
  • 建物全体の揺れを最小限に抑える設計が可能。

メンテナンスと耐久性

べた基礎は基本的に長期間にわたってメンテナンスフリーな構造ですが、以下の点に注意するとさらに長持ちします。

1. 基礎周辺の排水対策

  • 基礎周囲に砂利を敷いたり、排水管を設置することで雨水の浸入を防ぐ。
  • 適切な排水計画が基礎の耐久性に直結します。

2. コンクリートの劣化防止

  • 時間経過とともにコンクリート表面が劣化することを防ぐため、防水材の塗布や外周部分の保護が有効。

3. ひび割れの点検

  • 地震や地盤の影響でひび割れが生じた場合、早期に補修を行うことで基礎全体の耐久性を維持。

べた基礎工法の応用例

1. 大型木造住宅

  • 床面積の大きい木造住宅において、べた基礎は荷重分散に非常に効果的です。

2. 狭小地や変形地

  • 狭小地では基礎面積を最大限活用できるため、べた基礎は特に有効。

3. 軟弱地盤地域

  • 地盤改良と組み合わせることで、べた基礎は不同沈下に強い構造を提供します。

まとめ

べた基礎工法は、住宅の耐久性、耐震性、防湿性能を高めるための優れた基礎構造です。特に日本のような地震が多く湿気の高い地域では、べた基礎工法の採用が建物の寿命を大きく延ばす要因となります。

施工時の配筋計画やコンクリートの品質管理が成功のカギを握り、専門業者による適切な設計と施工が不可欠です。基礎は建物の土台であり、長く安心して暮らせる住宅を実現するための最初の重要なステップです。

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