家づくりの知識

2024.11.19

頭金の違いによる住宅ローン3,500万円の返済シミュレーション②

年収600万円で土地あり、頭金の違いによる住宅ローン3,500万円の返済シミュレーション

はじめに

年収600万円で住宅ローン3,500万円を組む場合、頭金を用意するかどうかは返済計画の重要な分岐点となります。頭金の金額によって月々の返済額や家計の余裕、総返済額が大きく異なり、家族の生活に直接影響します。

本記事では、頭金を「なし」「300万円」「500万円」とした場合の具体的なシミュレーションを比較し、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。家計シミュレーションを交えながら、最適なプランを考える材料としてご活用ください。

ケーススタディ:Cさんご家族の状況

家族構成と収入

**夫(会社員)**:年収600万円
**妻(パート勤務)**:年収120万円
**子供2人**:中学生(14歳)、小学生(9歳)

家計の現状

**月収(手取り)**:約42万円(夫婦合算)
**生活費**:月28万円(住宅費を除く)
食費:7万円
光熱費:2.5万円
教育費:6万円
保険:2.5万円
通信費:2万円
その他(レジャー費・雑費など):8万円
**貯蓄額**:500万円
**固定資産税**:年間7万円(土地分)

土地と住宅ローンの条件

**土地**:両親から譲渡された60坪(固定資産税含む)
**借入額**:3,500万円(頭金の有無で変動)
**金利**:1.5%(固定金利)
**返済期間**:35年
**ボーナス**:年間100万円(夫)

シミュレーション:頭金の違いによる返済額の比較

1. **頭金なし(フルローン)**

借入額:3,500万円
月々の返済額:約10.6万円
年間返済額:約127万円
総返済額:約4,447万円
返済負担率:**21.2%**

##### メリット
手元資金を維持できるため、教育費や突発的な出費に対応しやすい。
頭金が用意できなくても、家を建てることが可能。

##### デメリット
月々の返済額が高く、家計のゆとりが少なくなる。
総返済額が最も高くなる。

2. **頭金300万円を用意**

借入額:3,200万円
月々の返済額:約9.7万円
年間返済額:約116万円
総返済額:約4,068万円
返済負担率:**19.3%**

##### メリット
借入額が減ることで月々の返済額が約9,000円軽減。
総返済額がフルローンに比べて約379万円減少。
手元資金が200万円残るため、教育費や緊急時の備えとして活用可能。

##### デメリット
フルローンと比べると手元資金が減るため、突発的な出費に対応しにくい場合がある。

3. **頭金500万円を用意**

借入額:3,000万円
月々の返済額:約9.1万円
年間返済額:約109万円
総返済額:約3,812万円
返済負担率:**18.2%**

##### メリット
月々の返済額がフルローンより約1.5万円軽減。
総返済額がフルローンより約635万円減少。
家計に最も余裕が生まれる。

##### デメリット
手元資金が大幅に減り、貯蓄が減少する。
教育費や突発的な出費に対応できる資金が限られる。

プラン別の家計シミュレーション

**Aプラン:頭金なし(フルローン)**

月々の返済額:10.6万円
生活費(28万円)+ローン返済額=38.6万円
**貯蓄可能額**:3.4万円

**Bプラン:頭金300万円**

月々の返済額:9.7万円
生活費(28万円)+ローン返済額=37.7万円
**貯蓄可能額**:4.3万円

**Cプラン:頭金500万円**

月々の返済額:9.1万円
生活費(28万円)+ローン返済額=37.1万円
**貯蓄可能額**:4.9万円

**結果**:頭金が多いほど貯蓄に余裕が生まれますが、手元資金の減少を考慮する必要があります。

総返済額と生活のゆとりを天秤にかける

フルローン(頭金なし)

総返済額が最大となり、毎月の負担が大きい。
教育費や老後資金の貯蓄に影響が出やすい。
手元資金をすべて維持できるため、突発的な支出に対応可能。

頭金300万円

月々の負担を軽減しつつ、総返済額も抑えられる。
バランスの良いプランで、教育費や家計の安定を図れる。
手元資金をある程度残せるため安心感がある。

頭金500万円

毎月の返済負担が最も軽減され、総返済額も最少。
教育費や老後資金に回す貯蓄が少なくなる可能性がある。
突発的な支出に備えるため、節約意識が必要。

頭金の有無に応じた戦略

1. **フルローンの場合**
ボーナス返済を活用し、月々の負担を軽減。
家計の固定費を見直し、生活費を削減。
教育費や老後資金の貯蓄を優先。

2. **頭金300万円の場合**
借入額を抑えつつ、手元資金を維持。
繰り上げ返済を計画し、総返済額をさらに削減。
教育費や老後資金にバランスよく貯蓄を充てる。

3. **頭金500万円の場合**
借入額を最小化し、毎月の負担を軽減。
繰り上げ返済を行い、早期完済を目指す。
緊急時の資金を別途確保する。

まとめ:年収600万円で最適なプランを選ぶには

年収600万円の場合、頭金の額によって返済額や家計の余裕に大きな差が生まれます。それぞれのプランにはメリットとデメリットがあり、選択は家族のライフスタイルや将来設計に基づいて決定する必要があります。

**フルローン**:手元資金を残し、緊急時の対応を重視。
**頭金300万円**:返済額と貯蓄のバランスを取りたい場合に適したプラン。
**頭金500万円**:月々の負担を最小化し、家計に最大の余裕をもたらす。

家族の目標に応じて最適なプランを選びましょう。また、住宅ローンアドバイザーやファイナンシャルプランナーに相談することで、より安心して家づくりを進められます。

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