家づくりの知識

2024.11.17

断熱性能について

日本の住宅における快適な住環境と省エネを実現するために重要な要素が「断熱」です。断熱性能を高めることで、冷暖房効率が向上し、年間の光熱費を削減できるほか、環境にも優しい生活を実現できます。

1. 断熱材の性能を示す数値とは?「熱伝導率」と「熱抵抗値」

断熱材の性能を理解するには、「熱伝導率(λ値)」と「熱抵抗値(R値)」という指標がポイントです。

熱伝導率(λ値)とは?

熱伝導率は、断熱材が熱をどれくらい伝えやすいかを示す数値で、数値が低いほど断熱性能が高くなります。たとえば、熱伝導率が0.020W/m・Kの断熱材は、0.040W/m・Kの断熱材よりも熱を伝えにくく、高い断熱効果を発揮します。住宅の断熱性能を向上させるには、低い熱伝導率を持つ断熱材を選ぶことが重要です。

熱抵抗値(R値)とは?

一方で、熱抵抗値は断熱材の厚さと熱伝導率を組み合わせた指標です。R値が高いほど断熱効果が高いとされ、厚みのある断熱材ほどR値も高くなります。同じ素材であっても、断熱材の厚さによって断熱効果が異なるため、設置場所や施工スペースに合わせて適切な厚みの断熱材を選びましょう。

2. 代表的な断熱材とその性能数値、年間電気代への影響

それでは、代表的な断熱材の種類と性能数値、そしてそれらが年間の電気代にどのような影響を与えるかを見ていきましょう。

1. グラスウール

グラスウールは、ガラスを細かく繊維状にした断熱材で、比較的安価で施工がしやすいのが特徴です。熱伝導率は0.038~0.045W/m・Kで、90mm厚のグラスウールのR値は約2.3~2.6です。名古屋市でグラスウールを使用した築15年の住宅に住むAさんの例では、年間の冷暖房費が約150,000円に達しています。グラスウールは湿気に弱く、断熱効果が下がりやすい傾向があるため、防湿処理も必要です。

2. 高性能グラスウール

高性能グラスウールは、通常のグラスウールに比べて繊維が細かく、断熱性能が向上しています。熱伝導率は約0.035W/m・Kで、90mm厚のR値は2.6~3.2です。断熱効果が向上するため、年間の冷暖房費は約120,000円に抑えられます。通常のグラスウールと比べると年間で約30,000円の電気代削減が見込め、初期費用は若干増えるものの、冷暖房効率が高まります。

3. 発泡ウレタン

発泡ウレタンは、現場で液体を発泡させ、建物に密着させる断熱材です。気密性が高いため、エアコンの効率を上げる効果が期待できます。熱伝導率は約0.023~0.028W/m・Kで、90mm厚のR値は3.2~3.9です。名古屋市内で発泡ウレタンを使用しているBさんの住宅では、年間の冷暖房費が約90,000円と、グラスウール住宅に比べて年間で約60,000円の電気代削減が実現しました。気密性の高い発泡ウレタンは、寒冷地や高温多湿の環境でも快適な住環境を保つことができます。

4. ポリスチレンフォーム(EPS・XPS)

ポリスチレンフォームには、ビーズ法で成形されるEPSと押出法で成形されるXPSがあり、耐水性が高く外断熱でよく使われます。熱伝導率は0.030~0.036W/m・K、90mm厚のR値は2.5~3.0です。名古屋市でポリスチレンフォームを使用しているCさん宅では、年間の冷暖房費が約110,000円に抑えられ、グラスウール住宅と比べて年間で約40,000円の電気代が節約できています。

5. ネオマフォーム

ネオマフォームは、フェノールフォーム系の断熱材で、熱伝導率が0.020W/m・Kと非常に低く、90mm厚のR値は約4.5です。Dさん宅(築3年)ではネオマフォームを使用し、年間の冷暖房費が約75,000円と非常に低く抑えられています。グラスウール住宅と比較すると、年間75,000円もの電気代削減が可能で、長期的に大きなコストメリットを生み出しています。

6. セルロースファイバー

セルロースファイバーは、リサイクル紙から作られる自然素材の断熱材で、調湿効果が特徴です。熱伝導率は0.040~0.045W/m・Kで、90mm厚のR値は2.0~2.3。Eさん宅(築10年)では、セルロースファイバーを使用したことで年間の冷暖房費が約130,000円に抑えられています。自然素材を使用したエコ住宅や調湿性を重視したい場合に向いています。

3. 断熱改修による電気代の具体的な削減効果

名古屋市内で築20年の住宅に住むFさんは、もともとグラスウールを使用していましたが、年間の冷暖房費が約180,000円に上っていました。そこで、断熱材を発泡ウレタンに変更し、窓をLow-Eガラスに改修しました。その結果、年間の冷暖房費は約108,000円に減少し、年間で72,000円もの電気代が削減されました。さらに、ネオマフォームの導入を検討することで、年間の冷暖房費を80,000円程度に抑えることも可能で、年間約100,000円の電気代節約が見込まれます。

4. 断熱材選びで電気代削減を最大化するポイント

R値と厚みを確認して選ぶ

断熱材選びでは、R値が高いほど断熱性能が向上し、電気代削減効果も高まります。R値が高いと、冷暖房の効率が良くなり、結果として冷暖房費の節約につながります。特に、ネオマフォームや発泡ウレタンなど高い断熱性能を持つ断熱材は、初期投資がかかっても長期的なコストメリットを得られるため、検討する価値があります。

適材適所の断熱材を使う

断熱材は、住宅の場所や気候に応じて選ぶことが重要です。湿度が高い地域では耐水性に優れたポリスチレンフォームが適しており、自然素材を活かしたい場合はセルロースファイバーが人気です。また、エコ住宅では環境に配慮された断熱材を選ぶことが望ましいです。

5. 断熱がもたらす健康と環境へのメリット

断熱性能が高い住宅は、冷暖房の使用頻度が減り、CO₂の排出量も抑えられるため、地球温暖化の緩和にも貢献できます。特に、ネオマフォームなどの高性能断熱材を使用することで、エネルギー効率が格段に向上し、家庭の省エネが実現します。さらに、断熱性能を高めると、室内の温度が安定しやすくなり、居住者の健康にもメリットがあります。

例えば、室内温度が安定することでヒートショックのリスクが軽減され、高齢者や小さな子供がいる家庭では特に安心です。また、湿気や結露の発生が抑えられることで、カビやダニの発生が少なくなり、アレルギーや呼吸器疾患のリスクも減少します。断熱材の選び方ひとつで、住宅の快適性だけでなく、家族の健康にも良い影響を与えるのです。

6. トータルコストで考える断熱材の価値

高性能な断熱材を採用する場合、初期費用は一般的な断熱材よりも高くなることが多いですが、長期的には電気代の節約や健康面でのメリットがあり、トータルコストで見ればお得な選択といえます。特に、ネオマフォームや発泡ウレタンなどの高断熱材は、冷暖房費を大幅に削減できるため、5~10年のうちに初期投資分を回収することが可能です。

最後に:断熱材選びで快適で経済的な暮らしを

断熱材の種類と性能数値の違いを理解し、適切な断熱材を選ぶことで、電気代の削減や室内環境の向上が期待できます。R値が高い断熱材や、性能の高い断熱材を選ぶことで、冷暖房の効率が良くなり、年間の電気代を抑えることができます。さらに、断熱性能を高めた住宅は、健康面にもメリットがあり、結露やカビの発生を防ぎ、家族の健康を守ることにもつながります。

また、エネルギー消費の削減により、地球環境への負荷も減らせるため、持続可能な生活に貢献できる点も大きな魅力です。断熱材選びの際には、性能数値や断熱材の種類、さらに施工方法も踏まえて、長期的なコストメリットを検討してみてください。快適さと経済性、そして環境保護を実現するための断熱材選びが、家づくりにおける重要な要素となるでしょう。

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