家づくりの知識

2024.11.01

住宅ローン減税について

住宅ローン減税とは?そのメリットと注意点

住宅ローン減税は、新築や中古住宅の購入、または増改築を行った際に、所得税の負担を軽減する制度です。年末のローン残高に対して1%(一定条件で0.7%なども適用)の控除が所得税から行われるため、毎年多くの方が利用しています。この制度は家計の負担を減らし、さらに借り換えや固定金利と組み合わせることで総返済額を抑えることができる強力なサポートです。

住宅ローン減税の適用条件を簡単に確認しておくと、以下のようなものが挙げられます。

  1. 控除対象:原則として、年末の住宅ローン残高の1%が控除の対象となります。
  2. 控除期間:通常10年間適用され、特例によって最大13年間適用されるケースもあります。
  3. 控除額の上限:住宅の種類や条件に応じて年間の控除額には上限があります。新築の場合、一般的には年間最大40万円の控除が受けられます。

このように、住宅ローン減税を活用することで、年間数十万円の控除を受けられるため、家計の中でも重要な節税効果を持っています。


年収別に見る住宅ローン減税と固定金利の活用方法

年収別に住宅ローン減税を利用する際の注意点や、固定金利を組み合わせた具体的な返済プランを見ていきましょう。

1. 年収500万円の場合

年収500万円のケースでは、ローンの返済負担を抑えつつ、住宅ローン減税を最大限に活用することが重要です。収入が高い方に比べて返済の余裕が少ないため、以下のような工夫が役立ちます。

  • 固定金利で安定的な返済を目指す:年収500万円では月々の返済額が家計に与える影響が大きいため、変動金利のリスクを避け、1.2%程度の固定金利を選択することで返済の安定性を確保します。たとえば、35年ローンで月々の返済額を10万円程度に抑えれば、家計の余裕を維持しやすくなります。
  • 住宅ローン減税の効果:初年度の年末残高が2,000万円と仮定すると、年間の控除額は20万円に相当します。これにより、毎年所得税の還付を受けることで実質的な返済額が軽減されます。10年間で約200万円の控除を受けられるため、住宅ローン減税が大きな家計の助けになります。
  • 借り換えタイミングの工夫:例えば、減税期間中にさらに低金利の変動金利へ借り換えることで月々の返済負担を抑え、残高を減らしすぎないことで減税の恩恵を維持することが可能です。減税期間終了後に繰り上げ返済を行えば、総返済額の削減も狙えます。

2. 年収700万円の場合

年収700万円のケースでは、返済に余裕があるため、変動金利や繰り上げ返済を組み合わせた計画が実行可能です。

  • 10年固定金利+繰り上げ返済プラン:たとえば、10年間0.8%の固定金利を選び、その後変動金利に切り替え、さらに繰り上げ返済を行うことで総返済額の削減を図ります。毎月の返済額が12万円程度であれば、家計に無理のない範囲で返済が進められます。
  • 住宅ローン減税の利用方法:年末残高が3,000万円の場合、1%の控除を受けると年間30万円が所得税から控除されます。10年間で300万円の還付が得られるため、減税期間終了まで繰り上げ返済を控えて残高を維持するのが良いでしょう。
  • 10年後の借り換えや繰り上げ返済:減税期間が終了する10年目に繰り上げ返済を検討し、変動金利の利用を開始することで、金利上昇のリスクを最小限に抑えながら返済額を減らせます。減税期間終了後であれば、年末残高を減らしても控除額に影響がないため、積極的な返済が効果的です。

3. 年収900万円の場合

年収900万円のケースでは、固定金利でも低金利を活用し、減税を十分に受けた後、繰り上げ返済を行うのが一般的です。

  • 長期固定金利の選択:年収900万円であれば、20年以上の固定金利0.9%を選択することで、返済の安定性と長期的な金利リスクの回避ができます。たとえば、月々の返済額が13万円前後で、10年間は返済額が一定に保たれるので、家計への影響も管理しやすくなります。
  • 住宅ローン減税のメリット:例えば年末残高が4,000万円あると仮定すると、年間40万円の控除を受けることができます。10年間で400万円の控除を受けられるため、住宅ローン減税が総返済額を軽減する大きな要素になります。
  • 減税期間終了後の借り換えや繰り上げ返済:固定金利の期間満了時に変動金利に切り替え、残ったローン残高を一括繰り上げ返済することで、支払総額の削減を狙えます。また、住宅ローン減税の控除期間終了後であれば、残高を減らすことによりさらに利息の軽減が見込めるため、固定金利期間と減税期間の終了時点でのプラン変更が推奨されます。

 


住宅ローン減税と借り換えの相性:総返済額のシミュレーション

実際に、住宅ローン減税と借り換えを利用した際のシミュレーションを通じて、どのくらいの金額が軽減されるかを見てみましょう。

  • ケース1(年収500万円):固定金利1.2%で月10万円の返済、年末残高が2,000万円だと仮定します。この場合、年間20万円の控除が得られるため、10年間で200万円の還付。借り換えで0.6%の変動金利に変更すると、月の返済額が8万5千円となり、総返済額で約360万円の軽減が見込めます。
  • ケース2(年収700万円):固定金利0.8%で12万円の返済、年末残高が3,000万円と仮定。年間30万円の控除が得られ、10年間で300万円の還付となります。10年目で低金利の変動金利に借り換えると、総返済額が約500万円削減可能です。
  • ケース3(年収900万円):固定金利0.9%で13万円の返済、年末残高が4,000万円と仮定。年間40万円の控除を受け、10年間で400万円の還付。この後、変動金利に切り替え、繰り上げ返済を行えば総返済額で約600万円の軽減が可能となります。

 

最後に

住宅ローン減税は、年末残高に対する1%の控除が10年間適用されるため、住宅ローンの返済負担を大きく軽減できます。年収ごとに適した金利プランや返済計画を選ぶことで、控除期間中に最大のメリットを享受し、控除終了後に繰り上げ返済や借り換えを行うことで、総返済額の削減も狙えます。

具体的には以下のようなポイントが重要です:

  • 1. 年収500万円:安定性を重視し、固定金利で返済負担を抑えた後、減税期間終了後に変動金利や繰り上げ返済を検討する。
  • 2. 年収700万円:短中期固定金利を選び、減税期間終了時に繰り上げ返済や借り換えを行うことで、支払総額をさらに抑えることが可能。
  • 3. 年収900万円:長期固定金利を選んで返済の安定を図り、減税終了後に変動金利や繰り上げ返済を組み合わせることで、効率的な返済ができる。

このように、住宅ローン減税と固定金利・借り換えを組み合わせた返済戦略を立てることで、家計に優しい返済計画が実現します。住宅ローン減税の期間中は年末残高を多めに維持することで最大限の控除を受け、減税終了後に借り換えや繰り上げ返済を行えば、住宅ローンの総支払額を大きく削減することができます。

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