家づくりの知識
名古屋市で高気密性能と計画換気でつくる快適・省エネ住宅
名古屋市内の狭小住宅に最適な住まい方の新提案
近年、地球温暖化や都市部でのエネルギー消費量の増加といった問題に対応するため、住宅に求められる性能が大きく変わりつつあります。特に、暑さや寒さが厳しい名古屋市内で狭小敷地に住む多くの方にとって、「気密性能」と「換気性能」をどのように確保するかは、省エネルギーと快適性の両立において欠かせない要素となっています。気密性能を高めることで冷暖房効率が向上し、快適な室内環境が実現しますが、それだけではなく、住宅内の空気環境や健康リスクにも密接に関わってきます。また、気密性能を高めることで自然換気が制限されるため、計画的な換気システムも重要です。
本コラムでは、気密性能と換気性能の基本や、具体的な確保方法、省エネルギー効果や健康リスク、また、シックハウス症候群や都市部と郊外における住宅の気密性能の違いについても詳しく解説し、快適で健康的な住まいを実現するためのポイントをわかりやすくご紹介します。
1. 気密性能と断熱性能の関係とその重要性
1-1 気密性能と断熱性能の相乗効果
まず「気密性能」とは、住宅内の隙間を少なくして、外気の出入りを防ぐ性能のことです。これにより、冷暖房効果が向上し、光熱費の削減や省エネルギー効果が高まります。一方で、「断熱性能」は、壁や天井、床からの熱の移動を抑える性能を指し、気密性能が高い住宅ほど断熱材が十分に効果を発揮しやすくなります。このように、気密性能と断熱性能は相互に作用し、どちらか一方の性能だけではエネルギーロスが大きくなり、省エネ効果が得られにくいのです。
気密性能と断熱性能のメリット
気密性能と断熱性能が確保されている住宅では、冷暖房の効果が持続しやすく、急激な温度変化が生じにくくなります。たとえば、冬場は室温が一定に保たれるため、居住者の血圧や心拍数の急激な変動を防ぎ、体調が安定しやすくなります。また、冷暖房の使用が抑えられるため、光熱費の削減にもつながり、エコロジーの観点でも貢献できます。
断熱材の種類とその効果
断熱材には、グラスウールや発泡ウレタン、パネル断熱材などがあり、それぞれ施工方法や効果が異なります。特に気密性が高い住宅では断熱材の性能がさらに活かされ、断熱効果が持続しやすくなるのです。断熱材は、劣化により性能が低下することがあるため、数年ごとに点検し、断熱材のズレや破損がないか確認することも推奨されます。
2. 気密性能を確保するための方法と難所
気密性能を高めるためには、設計段階から綿密な施工が必要です。特に、気密性能を確保しにくい箇所や、施工における工夫を知っておくことが、効率的な気密性向上に繋がります。
2-1 気密性能を確保するための具体的な施工方法
住宅の気密性能を高めるためには、隙間を極力なくし、外気の流入を防ぐための施工が行われます。主な施工方法として、以下のポイントが重要です。
- 気密シートの貼り付け:壁や天井に気密シートを貼り付け、隙間を無くすことで外気が入りにくいようにします。このシートは高い防湿性能を持ち、壁内部の結露やカビの発生も防ぐ効果があり、気密性を確保する上で欠かせません。気密シートの種類として、透湿タイプと非透湿タイプがあり、地域の気候や住宅の構造に合わせた選択が必要です。
- 断熱材の施工精度を高める:断熱材がしっかりと隙間なく設置されていることで、外気が室内に侵入する隙間を防ぎます。特に、断熱材をしっかり固定し、施工精度を保つことで、気密性能が高まります。断熱材がずれたり、設置が不十分だと気密性が損なわれ、冷暖房の効率が低下する原因になります。
- 開口部(窓・ドア)のシーリング:気密性を保つ上で、開口部のシーリング処理は非常に重要です。窓やドア枠にシーリング材を充填し、隙間風が入らないようにします。また、サッシには、断熱性能が高いものを使用することで、気密性が強化されるだけでなく、断熱効果も高まります。
- 配管まわりの気密処理:配管やダクトが外部に通じる部分は、室内外の気圧差で隙間から空気が流入しやすい箇所です。気密処理用のパテや専用シーリング材で配管まわりを埋めることで、気密性を確保します。
- コンセントやスイッチボックスの防気処理:壁内に埋め込まれているコンセントやスイッチ周りは気密性が確保しにくい箇所ですが、防気ボックスを設置することで、隙間から空気が漏れないようにします。
2-2 気密性能を確保しにくい箇所
気密性能を高める際、特に隙間が生じやすく、気密性を確保しにくい場所は以下の通りです。
- 窓・ドアまわり:開閉が頻繁に行われる窓やドアまわりは、どうしても隙間が生じやすくなります。また、長期的に使用する中で、ドアや窓枠が歪んだり劣化することもあり、気密性が低下しやすいです。
- 換気口・配管まわり:換気のための換気口やエアコン・給湯器などの配管まわりも、外と繋がる部分であり、気密性を確保しにくいポイントです。特に、気温差による膨張・収縮で隙間が発生しやすく、施工時のシーリングが重要となります。
- 基礎部分と床下の境目:基礎部分と床下の境界は、地震や経年変化で隙間が生じやすく、床下から冷気が入りやすい場所です。気密シートの施工やシーリング材での隙間埋めが必要です。
- 屋根や壁の接合部:屋根と壁の接合部分は、雨水の侵入も防ぐ必要があり、気密性と防水性の両方を考慮して施工が行われる箇所です。特に気密シートの貼り付けが難しい部分であるため、丁寧な施工が求められます。
3. 気密測定のメカニズムと重要性
気密性能を確保した住宅が、実際にどれほど気密性が高いかを確認するために行われるのが「気密測定」です。気密測定は、建物にどれほどの隙間があるかを数値化して示し、気密性能が設計通りかをチェックするために行われます。
3-1 気密測定の方法
気密測定は、住宅に存在する隙間の総量を確認し、どれだけの空気が漏れているかを把握するために実施されます。具体的な手順は以下の通りです。
- 気密測定器の設置
気密測定器のファンを建物内に設置し、換気口やドア、窓などをしっかり閉じます。 - 建物内の気圧を操作
測定器のファンを回し、建物内の気圧を調整します。一般的には室内の気圧を室外より低く(負圧に)して測定する方法が用いられます。この際、隙間がある部分から外気が建物内部に流入します。 - 隙間相当面積(C値)の算出
測定器が建物内部の気圧変化に伴って漏れ出る空気の量を計測し、建物全体の隙間相当面積(C値)を算出します。このC値は、床面積1平方メートルあたりの隙間の面積を示すため、C値が低ければ低いほど気密性が高い住宅と評価されます。
3-2 気密測定が重要である理由
気密測定を行うことで、建物全体の隙間が数値として明確になり、施工精度のチェックができます。気密性能が低いままでは、冷暖房効率が下がり、エネルギーロスが大きくなるため、実際の住環境や光熱費に影響が出ます。
また、気密測定によってC値が目標値に達していない場合、どこから空気が漏れているかを確認することで、追加の施工や対策が可能となり、隙間の少ない住まいを実現できます。
4. 気密性能と換気性能の関係 ー 健康リスクとその対策
高気密化された住宅では、換気システムが欠かせません。気密性が高いことで、外気が自然に入り込むことがなくなるため、計画的な換気を行わないと室内の空気がこもり、健康リスクが発生する可能性があります。
4-1 シックハウス症候群や空気質の悪化
気密性が高い住宅では、換気が不十分だと化学物質がこもりやすくなり、シックハウス症候群を引き起こしやすくなります。頭痛やめまい、のどの痛み、皮膚のかゆみなどの症状が現れることが多く、特に新築やリフォーム直後の住宅ではホルムアルデヒドなどの化学物質が発生しやすいため、換気システムが必要です。
対策
シックハウス対策として、第一種換気システムを導入し、24時間換気を行うことが有効です。また、空気の質を保つため、低ホルムアルデヒド製品の建材を使用することも重要です。
4-2 CO₂濃度の上昇と健康リスク
気密性が高く換気が不十分な場合、CO₂濃度が上昇し、集中力の低下や眠気、頭痛といった健康リスクが発生します。CO₂濃度は1000ppmを超えると不快感が増し、1500ppmを超えると健康被害が出やすくなります。
対策
CO₂濃度を下げるには、第一種換気システムやCO₂モニターの活用が有効です。CO₂濃度を測定することで、適切な換気ができているかどうかを確認でき、必要に応じて換気量を調整できます。
5. 名古屋市内での気密・換気性能を活かす住宅設計のポイント
名古屋市内の狭小住宅で、気密性能と換気性能を高めるためには、施工精度の高い住宅設計が求められます。以下では、健康リスクを抑えつつ、気密・換気性能を活かした住宅づくりのポイントをご紹介します。
設計段階での具体的な工夫
- 断熱材と気密シートの配置:適切に配置し、隙間をなくすことで、外気の影響を抑え、冷暖房効率が向上します。
- 高性能窓やサッシの導入:断熱性と防音性に優れた素材を使用し、騒音を防ぎつつ冷暖房効果を高めます。
- 第一種換気システムの導入:空気の質と湿度を管理し、清潔で快適な住環境が実現できます。
まとめ ー 名古屋市内の狭小住宅における気密と換気のバランス
都市部の住宅では外部環境からの影響を軽減し、郊外の住宅では虫の侵入や湿気管理が重要です。気密性を高めた分、換気システムを最適化し、清潔な空気環境を保つことで、健康リスクを防ぐことが重要です。