家づくりの知識

2024.11.02

地震に強い家づくり ~南海トラフ大地震に備える~

こんにちは、皆さん。この記事では、愛知県にお住まいの方々が特に心配している「南海トラフ大地震」に備えた、地震に強い家づくりについてわかりやすくお話ししていきます。

南海トラフ地震は、過去に大きな被害をもたらした歴史があり、次の大地震がいつ来るかわからないという不安を抱えている方も多いでしょう。特に、家づくりを考えている方にとっては「どうすれば地震に強い家が建てられるのか」が気になるポイントですよね。

今回は、耐震等級3許容応力度計算、さらには最近、地盤調査や建物の耐震調査の一環で使われる微動探査、地震による液状化対策としての砕石パイル工法など、具体的な技術や対策についてお話しします。さらに、近年発生した熊本地震の教訓も交えながら、どのように地震に強い家づくりが進められるかを考えていきましょう。地震に強い家づくりを考える上で、ぜひ参考にしてみてくださいね。

地震に備えた家づくり、まずは耐震等級をチェック!

まず、家を建てる際に一番大事なことは、「その家がどれくらいの地震に耐えられるか」ということです。建物の耐震性能は、日本では「耐震等級」という基準で表されます。この耐震等級は、1から3までのランクがあり、数字が大きいほど耐震性能が高いことを意味します。

では、具体的に耐震等級3がどれくらいの耐震性を持つかご存じでしょうか?

住宅模型 耐震等級

耐震等級1~3の違い

  • 耐震等級1:建築基準法で定められた最低限の耐震性能です。震度6~7の大地震でも「倒壊しない」ことを基準としていますが、建物に損傷が出る可能性はあります。
  • 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の強度があります。学校や病院など、多くの人が集まる建物に求められる基準です。地震後も機能を維持することが求められます。
  • 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の強度があり、消防署や警察署のように、震災後もすぐに機能を回復させる必要がある建物に求められる基準です。地震に対して最も強い設計がされているのが、この耐震等級3の家というわけです。

愛知県は南海トラフ大地震の影響を受けやすい地域ですので、これから家を建てるなら耐震等級3の家を選ぶことを強くおすすめします。地震のリスクが高い地域では、この耐震等級3があるかどうかが、家づくりの大きな判断材料になるでしょう。

耐震等級3の家は本当に安心?

「耐震等級3って、本当に大丈夫なの?」と思う方もいるかもしれませんが、この基準は実際に震度7クラスの地震が何度も襲ってきても倒壊しないことを目指して作られています。もちろん、どんな強い地震でも100%無傷というわけにはいきませんが、少なくとも家が倒壊するリスクは極めて低くなります。特に南海トラフ地震のように、長い時間揺れが続く可能性のある地震では、この耐震等級3の性能が家族の命を守る大きな要素になるでしょう。

熊本地震の教訓:新築住宅でも油断できない

ここで、2016年に発生した熊本地震に注目してみましょう。熊本地震は、最大震度7を観測し、2度にわたる大きな揺れが短期間で襲った「連続地震型」と呼ばれる特徴を持っていました。この地震では、築年数が比較的新しい家でも倒壊が見られたケースがあり、多くの人々が驚きました。

熊本地震での住宅被害

熊本地震では、耐震基準を満たしていない古い住宅が倒壊した一方で、最新の耐震基準を満たした新築住宅でも一部が倒壊しました。この事例は、設計ミスや施工不良が原因だったものもありますが、もう一つ重要な点は、地震の規模と回数です。熊本地震のように、短期間で複数の大地震が発生するケースでは、耐震性能が十分でも、繰り返しの揺れによって建物が疲労し、倒壊のリスクが高まることがあります。

このことから、単に「耐震等級3の家だから大丈夫」と安心するのではなく、施工の質地盤の状態も含めた総合的な対策が必要だという教訓が得られました。

河合工務店 構造計算

許容応力度計算ってなに?安全性を確保する計算方法

耐震等級3の家を建てる際、次に重要になってくるのが「許容応力度計算」という言葉です。少し聞き慣れないかもしれませんが、これは建物が地震の揺れや風の力にどれだけ耐えられるかを計算する方法です。

許容応力度計算の役割

簡単に言うと、建物にかかる力を計算して、その力に耐えられるように柱や梁の太さ、基礎の強さなどを設計していくというものです。特に耐震等級3の家を建てる場合には、この許容応力度計算を行って、しっかりと安全性を確保した設計を行うことが必須です。

この計算をしっかりと行うことで、家のどこにどれだけの力がかかるのか、弱い部分はないか、といったことを事前にチェックできます。特に南海トラフ地震のような大きな揺れに耐えるためには、この計算が非常に大切な役割を果たします。

なぜ許容応力度計算が大切なのか

愛知県のように、南海トラフ大地震のリスクがある地域では、この許容応力度計算をしていないと、家のどこかに思わぬ弱点ができてしまう可能性があります。たとえば、地震の揺れが特定の壁や柱に集中してしまうと、その部分から壊れ始めてしまうかもしれません。この計算を行うことで、家全体にバランスよく揺れの力を分散させることができ、家全体を長持ちさせることができます。

地盤も忘れずに!地震に強い家を建てるための「微動探査」

次に注目したいのが「微動探査」です。地震に強い家を建てるためには、建物の設計だけでなく、地盤も非常に重要です。どんなに強い家を建てても、地盤が弱ければ意味がありません。実際、家の倒壊原因として「地盤の弱さ」が影響していることも少なくありません。

微動探査ってどういうもの?

微動探査は、地盤の強さや性質を調べるための方法です。微動とは、地面が常にわずかに動いている小さな揺れのことを指します。地球の内部からやってくる自然の振動が、私たちの足元で微妙に影響しているんです。この揺れを測定し、地盤の硬さや構造を調べるのが微動探査です。

「 微動探査」の仕組み

なぜ微動探査が大切なの?

微動探査を行うことで、その土地の地盤がどれだけ地震に強いのか、また液状化のリスクがないかなどがわかります。愛知県内でも地域によって地盤の強さは異なりますし、特に海岸部では液状化の危険性も考慮する必要があります。

液状化とは、地震の揺れによって地下水を含んだ砂質の地盤が一時的に液体状になり、建物や道路が沈んだり傾いたりする現象です。過去には、東日本大震災や熊本地震でも液状化現象が発生し、特に埋立地や沿岸部では甚大な被害を引き起こしました。地盤が弱いと、地震の揺れによって建物が沈んだり、傾いたりしてしまうことがあります。最悪の場合、建物自体が倒壊してしまうこともあるため、地盤調査は非常に重要です。

微動探査を行った後の対策

微動探査の結果、地盤が弱いと判断された場合には、いくつかの対策を取ることが可能です。

  • 地盤改良:地盤自体を強化する工事を行い、建物が安定するようにする方法です。土を固める工事や、地盤にコンクリートの柱を埋め込む方法などがあります。
  • 基礎の補強:地盤が弱くても、家の基礎部分をしっかりと補強することで、建物が揺れに耐えられるように設計する方法です。

液状化に強い地盤を作るための「砕石パイル工法」

液状化対策として注目されている方法の一つが「砕石パイル工法」です。この工法は、砕石(細かく砕かれた石)を地中に柱状に埋め込むことで、地盤を強化し、地震による液状化現象を防ぐ技術です。特に、海岸沿いの地域や埋立地では液状化のリスクが高いため、この砕石パイル工法が有効です。

砕石パイル工法のメリット

  • 液状化の防止:砕石パイルが地盤をしっかりと補強するため、地震時の揺れによって地盤が緩むことを防ぎます。これにより、建物が液状化によって沈んだり傾いたりするリスクを大幅に軽減します。
  • 環境に優しい:砕石パイル工法は、自然素材である砕石を使用するため、環境に優しい工法とされています。化学薬品などを使わないため、長期的な環境への影響も少なく、安心して使用できます。
  • コストパフォーマンスが高い:地盤改良の中でも比較的コストパフォーマンスが高いとされており、広い敷地での液状化対策に向いています。

砕石パイル工法が効果的な場所

特に、愛知県の沿岸部や埋立地では、液状化のリスクが高いとされています。地盤が砂質で、地下水が高い場所では、砕石パイル工法を取り入れることで、液状化に対する強力な対策を施すことができます。液状化による被害を未然に防ぐためには、地盤調査をしっかりと行い、その結果に基づいて適切な地盤改良を行うことが重要です。

 

木造住宅の耐震性能を高めるための方法

木造住宅で行える耐震対策は多岐にわたります。特に新築の場合には、最新の耐震技術を積極的に取り入れることができますし、既存の住宅でもリノベーションや補強工事を通じて耐震性能を大幅に向上させることが可能です。ここでは、木造住宅で行える耐震方法について具体的に解説していきます。

  1. 耐力壁の増設

木造住宅における耐震対策の基本は「耐力壁」の配置です。耐力壁とは、地震の横揺れに対して建物の強度を支える役割を持つ壁のことです。木造住宅では、建物を支える柱や梁が重要な役割を果たしますが、耐力壁がしっかりと配置されていないと、地震時に建物がねじれてしまい、倒壊の危険が高まります。

耐力壁の増設や強化は、地震に対する非常に効果的な方法です。特に、壁が少ない開放的な間取りの家や、古い住宅の場合には、耐力壁が十分に配置されていないことが多いため、地震に備えるためには耐力壁を追加することが重要です。

  1. 制震ダンパーの導入

制震ダンパーは、建物の揺れを吸収し、揺れを軽減する装置です。地震が発生した際、建物が大きく揺れるとその振動が建物全体に伝わりますが、制震ダンパーはその振動を吸収してくれるため、家全体が揺れにくくなります。

特に木造住宅では、建物の軽さが災いして揺れが大きくなりがちです。制震ダンパーを柱や壁に設置することで、その揺れを吸収し、揺れの影響を最小限に抑えることができます。新築だけでなく、既存の木造住宅にも後から取り付けることが可能なので、リフォームの際に検討してみる価値があります。

  1. 耐震金物の使用

木造住宅では、柱や梁の接合部が非常に重要です。この接合部が弱いと、地震の際に建物が崩れやすくなります。そこで、耐震金物と呼ばれる金属製の補強材を使って、柱や梁をしっかり固定することが効果的です。

耐震金物は、地震時に発生する強い揺れやねじれを建物全体に均等に分散させ、建物の構造を強化します。新築の場合はもちろん、既存住宅のリフォーム時にも簡単に取り付けられるので、補強工事として取り入れることをおすすめします。

  1. 基礎の補強

木造住宅の耐震性を高めるためには、基礎の部分も非常に重要です。地震の揺れは地面から直接建物に伝わるため、基礎がしっかりしていないと、建物が傾いたり沈んでしまう可能性があります。

特に古い木造住宅では、基礎が布基礎や独立基礎といったタイプで作られていることが多く、これらは地震に弱い傾向があります。そこで、地盤の安定性や耐震性を向上させるために、ベタ基礎や地盤改良を行うことが推奨されます。ベタ基礎は、建物全体を鉄筋コンクリートで支える工法で、耐震性能が非常に高いとされています。

河合工務店 間取り

耐震等級3+許容応力度計算+微動探査で安心の家づくりを!

ここまでお話ししたように、地震に強い家づくりにはいくつかのポイントがあります。特に、愛知県にお住まいの方は南海トラフ大地震のリスクを考慮しながら家を建てる必要があるため、耐震性能は非常に大切です。

まず、耐震等級3を確保した家を選びましょう。これによって、震度7クラスの地震でも倒壊しない強さを持つ家を建てることができます。さらに、家の設計段階では、許容応力度計算をきちんと行い、家全体の耐震バランスを考慮した設計を行うことが必要です。

そして、地盤についても必ず微動探査などの調査を行い、その土地が地震に耐えられるかを確認しましょう。もし地盤が弱い場合でも、適切な改良工事を行うことで、安心して暮らせる家を作ることができます。

家族の未来を守るために、しっかりと地震対策を

南海トラフ地震のリスクが現実的に存在する中で、家づくりは「家族の安全」を第一に考えるべきです。私たちは地震を完全に防ぐことはできませんが、地震に備えた家づくりを通して、被害を最小限に抑えることはできます。

また、家の耐震性能が高いことは、日常生活の安心感にもつながります。夜中に大きな地震が発生したとしても、家族全員が安全に避難できる家があれば、その後の生活にも自信を持って臨むことができるでしょう。

まとめ

愛知県にお住まいで、南海トラフ大地震に備えた家づくりを考えている方にとって、今回お話しした耐震等級3許容応力度計算微動探査、そして液状化対策としての「砕石パイル工法」は非常に重要なキーワードです。これらの要素をしっかりと取り入れた家を建てることで、将来の大きな地震にも耐えうる家を手に入れることができます。

家族の未来を守るために、信頼できる施工会社と相談しながら、耐震性能の高い家づくりを進めていきましょう。南海トラフ地震に備えた家づくりをすることで、日々の生活に安心をプラスし、万が一の時でも家族を守ることができる家を手に入れられます。

これからの家づくりの参考に、ぜひ今回の内容を役立ててみてくださいね。