コラム
担当建築家に会える完成見学会@一宮市~イベントを振り返って~
今回の見学会は設計して頂いた建築家・ナカタヒロヨ先生に長野県よりお越し頂いてのイベントとなりました。直接設計コンセプトや質疑回答をその場で行って頂ける非常に有意義な時間となりました。見学会前には施主様ご夫婦とお子様もお見えになり、実際の空間を回遊しながら設計時の思い出話に花を咲かせていました。また、完成後の実物の仕上がり具合に河合工務店ならではの細かいおさまりに感心して頂きました。リビングを中心に回遊性を持たせた空間はどこにいても居場所が確保されるコンパクトながらとても開放感があると実感されていました。
【提案時のイメージパース】との比較
【吹抜の開放感とハイサイドライトからの採光を味わう施主様とナカタ先生】
また、リビングの吹抜を介して真南両側に配置されたハイサイドライトから十分に採光が確保されているため、あいにくの曇天でしたがその明るさを体験することができました。
また、4畳半の大きな吹抜を介して2階に暖気が行きわたり、エアコンの設定温度が21℃でもどこにいても温度差を感じることがないとても心地よい温熱環境であることをみなさんに実感して頂けました。“吹抜=寒い“を感じさせない実例になったと思います。
2階では将来的に間仕切りをおこして子供室2室に分割予定のオープンスペースにて実際の家具の置き方や当面はご主人のリモートワークスペースとして活用すべく、設置した家具を参考にいろんなシミュレーションを行って改めてフレキシブルに対応できるプランであることを実感されていました。
【階段越しに見えるキッチンカウンターは壁付けキッチンとの併用で家事が捗る仕組み】
今回のお客様のライフスタイルにあった週末の夫婦揃っての1週間分のお料理の時間。ゆくゆくはお子さんと一緒に料理をする楽しみも見越して、壁付けのシステムキッチンにプラスして同じステンレス天板(バイブレーション加工)に合わせたキッチンカウンターを造作しました。リビング側からはすっきりとしたボックス型でキッチン側からは炊飯器やオーブンレンジなどの家電置き場とシンクの裏側にはごみ箱置き場とカトラリーや小物関係を引き出し収納にした、ご家族の用途に合わせてオーダーしてつくっています。アイランド型のカウンターなので全方向家族の作業場として使えるように計画されています。
【子供室1室分のレイアウトについてバリエーションを語るナカタ先生】
図面上ではなかなかわからない部屋の実際の大きさも家具を置いてみると随分とイメージが沸きます。今回はこどもの自分の部屋での過ごし方を考えできるだけ家族と一緒にいる時間を増やして、個室に籠りっきりにならないように最低限寝ることと勉強机が置ける程度にコンパクトな1室3.5畳程度に抑えています。数字だけ聞くとびっくりされますが実際に家具を置いてみると無駄のないコンパクトな空間であると認識できます。必要な空間ボリュームは家族によってそれぞれ異なるため、みんなの空間と個別の空間、設備の空間や収納のための空間、すべての要素をバランスよく大きさを整えていくことが大事になります。
【リビングのフローリングと室内土間とポーチ土間とがつながる】
こちらのお家には多くの土間空間が採用されています。特にメインはポーチの空間です。普通ポーチと聞くと玄関の前の空間を指しますがこちらはポーチとテラスを兼用した空間になっており、玄関、リビング土間、ダイニングの三方から行き来できるとてもフレキシブルな空間になっています。この日はテラスでお茶を飲むようなテーブルとイスをご用意していましたが、これを見てご主人はここでリモートワークをする際の気分転換のスペースとして活用してもいいかも、とひとこと。そうした新たな行動を喚起させるのも建築家デザインならでは。
【主寝室に設けた吹抜に通じる開口部より天井付けの窓と屋根の軒ラインを見る】
主寝室にはちょっと変わった開口部が設置されています。扉で開閉できますが開けっ放しにしておくと1階のエアコンの暖気が吹抜を通り、開口部を介して主寝室が暖まります。また、開口部越しに街の景色も見えるためほどよい開放感が味わえるデザインになっています。また、吹抜に面した連窓のハイサイドライトも天井付けの配置にすることで窓のラインがきれいに整って美しく風景が切り取られます。
【畳の小上がりスペースがベンチとしてリビングとつながる】
趣味で琴を奏でられる奥様の趣味室兼来客時に布団を敷いて泊まれる場所としての小上がりの畳スペースははじめらからのご要望。畳1畳分だと少し足りないため45㎝のベンチを畳とフラットで併設することで寝るスペースとして十分な広さを確保しました。小上がり形状にしていて腰掛けるとリビングと向かい合うこともできるベンチでその下は引き出し収納となっているので、子供の玩具をしまう場所だったり、リビング収納としても活用ができるマルチタスクなしかけが施されています。自らも華道・茶道を嗜むナカタ先生の目線での和室としての設えについて掛け軸やお花の添え方などいろいろなアドバイスもありました。
【来場者に設計コンセプトを熱く語るナカタ先生】
当日、お越しになった方からも様々な質問を頂きました。限られた空間の中でいかに広がりを感じることができるか。本当の広がりは床面積ではなく部屋の中での対角線の距離(視点間距離)であるとナカタ先生は仰います。その後はご自身の考えられている敷地条件をもとにしたスケッチを描きながらの相談会も行われました。特に土地探しから始められる方によくある“南側道路がいい”という条件のご相談が重なりました。陽当りがよさそうなイメージから抱かれる条件を建築家目線で見てみると、、、という話で盛り上がりました。
【LIVEスケッチで土地の可能性を探る】
また、別の方からは南面に道路がある場合にプライバシーの確保と自然エネルギーの確保をしつつ、かっこいい外観をつくることはできるのか?などというなかなか高度な質問もされていました。これにも「できますよ。それはですね…」と再びLIVEスケッチの場へ。南面ならではのファサードの特性と窓と壁の関係性など直接建築家の脳裏、手の内を垣間見えるとても貴重な時間になったと思います。
今回は土地にまつわる疑問が多いようで、また別の方からは2つある候補地のどちらに建てた方がよいかに焦点を当てた相談になりました。ひとつは100坪近くある大らかな土地、もうひとつの土地は間口5m奥行き20mの長細いどんな形で建てられるかの質問でした。どちらも平屋ベースで考えて、100坪もあればどんな形でも叶えられそうだが、建築工事費だけではなく外構費なども考えると全体の資金計画に余力が必要なのと、間口5mの場合は駐車計画をシビアに考えないと暮らしのうえで苦労する点などを話し合ってどちらにもメリット・デメリットがあり、自分たちだけでは思いつかなったととても感心して見えました。
今回改めてご感想頂いたのが、どんな質問でも瞬時にお答え頂ける建築家の方の引き出しの豊富さや一般の方でもわかりやすいかみ砕いた表現で納得して頂けるまで真摯に向き合って、話を聞いてくださる姿勢にみなさんがとても満足していたように思います。
それぞれのご家族と建築家、工務店の3者のコラボレーションの結晶を今後もご案内していきたいと思います。